2024.09.02
三鷹の水車「しんぐるま」の耐震工事を実施しました
田村工務店は三鷹市から依頼され、長年地元で愛される水車小屋「しんぐるま」の耐震工事を行いました。
今回はブログでその耐震工事の内容をご報告させていただこうと思います。今日はまず「『しんぐるま』って何?どんな歴史があるの?」という方のために、三鷹の水車「しんぐるま」について簡単にご紹介いたします。
三鷹の水車「しんぐるま」といえば、自然豊かな野川沿いに位置し、長くこの地域の風景に欠かせないシンボル的な存在です。
三鷹の水車はかつては水の流れる力で小麦をひき、そうして作られた小麦粉を江戸市中に卸すという大切な役割を担っていました。当時の江戸の人々はその小麦粉を使った、美味しいうどんや和菓子を好んで食べていたのです。しかし時代の流れとともに三鷹の水車は一つまた一つとその動きを止めていき、最後に残ったのが「しんぐるま」でした。
その「しんぐるま」も創業から160年経った昭和43年、野川の改修工事によってついに稼働を停止しました。しかし八代目当主・峯岸さんの「叔父が作ったしんぐるまを次の世代へと残したい」というひたむきな努力によって、三鷹の水車「しんぐるま」は内部の機構を含めた装置全体が、今日でも良好な状態で保存されているのです。
そのため動きを止めた今でも、「しんぐるま」は東京都から有形民俗文化財の指定を受けるなど、地元三鷹市に誇りをもたらしてくれています。その見事な機構は、日本機械学会から機械遺産の認定も受けています。まさに時代が変わっても、三鷹市の宝として次世代に残していきたい貴重な建造物です。
峯岸さんは水車を作った叔父さんご本人から「後を守ってほしい」とくれぐれもお願いされたとのことです。その願いを叶えるため、また地域の皆さんから愛された野川沿いの風景を守るため、精一杯お手伝いさせていただきました。
昨年の耐震工事が完了し、現在は母屋の耐震工事を手がけています。建物を持ち上げて建物の基礎を工事する「揚屋(あげや)」を行っているところです。
次回はその内容をお話しさせていただきます。どうぞお楽しみに!